遍路は続くよ

2021年3月から始めた歩き遍路の日記を綴る

⇨8熊谷寺→9法輪寺⇨10切幡寺⇨10藤井寺【旅館吉野泊】 2021年3月14日(日)

吉野川を越えるー

 朝食は7時。7時30分に十楽寺宿坊を出る。旧街道をゆったりと歩く。特に足やひざの痛みはない。空は広い。黙々と先へ進む。遍路マーク探しに没頭している。徳島自動車道をくぐり,山の中腹に仁王門が突如現れる。ここからの山中がかなり長く感じる。8時30分八番札所熊谷寺到着。(8時46分発)。田んぼの緑の中を風に吹かれながら9時30分に九番札所法輪寺到着。(9時48分発)

 途中で早めの昼食をとる。大きい店構えの「八幡」。先客の夫婦一組が食事中。ざるうどん大650円。昨日のほうが美味しかった。更に山側へ向かって歩みを進める。山の中腹333段の石段を上がると十番札所切幡寺。11時30分に到着。遍路ツアーの人が目まぐるしく動く。「杖忘れてませんかー」のガイドさんの声だけが響く。金剛杖は本当によく忘れる。本堂に着くと必ず杖立が置かれているので,杖はそこに置く。本堂,大師堂,朱印とバタバタすると,「あっ杖忘れてる」と気づくこともままある。まだまだ修養心が足りていない。(11時59分発)

 遍路道はここから5キロ先の吉野川を目指して向かって大きく南に向かう。緑の中鳥のさえずりを所々に聞きながら堤防を上がると,目の前に雄大吉野川が突然現れる。f:id:nippon-henro:20210809093636j:imageそして楽しみにしていた沈下橋。長いのでわたるのに10分ぐらいかかる。橋幅が狭いのに時々車が通過する。脇へよけ通過を待つ。川風が心地よく,菜の花が映える。四国にいる!感いっぱい。吉野川を越え再び山のほうを目指して歩く。ちょっと疲れが出ているの歩速がにぶってくる。山のふもとの十一番札所藤井寺に13時35分着。(13時52分発)すぐ近くの「旅館吉野」に14時着。この日も早く歩きすぎている感がある。まだ身体に余裕はあるが,この先は山。早めに休養する。「吉野」はいわゆるへんろ宿。野菜,肉,魚と力の付くものが夕食に出てくる。どれもおいしくいただく。なにか遍路しているなあという実感がわいてくる。宿の主人も気さくな人でサンヤ袋はこう掛けるほうが体に楽とか,杖は宿に着いたら真っ先に洗うとかいろいろ教えてくださる。いちいちがごっとも。

 14日の記録 36295歩 20.3キロ  1泊2食 7000円(翌日の弁当付き)

2泊目で72885歩 40.6キロ

〇遍路は日常からの離脱。合理化・機械化された人生からのう回路。非日常の世界。かといってどこへ行く?

遍路道は誰かが同じように歩いているのではないかという一抹の安心感がある。キャリアも何も不必要な世界をすすむ。

〇だいたいが私が先頭。S君が5メートルほど後を歩く。S君の金剛杖のクマよけの鈴の音が後方から聞こえる。一緒に話すのは「どっち行く?」といった道の選択の時くらいでほぼ黙々と先に向かって歩く。

〇時々は一人で口ずさみながら歩いている自分に気が付く。何故か美空ひばりが多い。「川の流れのように」がダントツ。~知らず知らずあるいてきた細く長いこの道 振り返れば遥か遠く故郷が見える でこぼこ道や曲がりくねった道 地図さえないそれもまた人生 ああ川の流れのようにゆるやかに いくつも時代は過ぎて ああ川の流れのように とめどなく空が黄昏に染まるだけ   生きることは旅すること 終わりのないこの道 愛する人そばに連れて夢探しながら 雨に降られてぬかるんだ道でも いつかはまた晴れる日が来るから ああ川の流れのようにおだやかに この身をまかせていたい ああ川の流れのように移りゆく 季節雪どけを待ちながら ああ川の流れのようにいつまでも 青いせせらぎを聞きながら~ そんなに美空ひばりが好きだったわけでもないのに。マラソンの時はザードの「負けないで」をずーっと聞いて走っていたのにねえ。

〇四国遍路とマラソンの共通点。①独特のそれとわかるウェア。②みんなが同じ方向を向いて動いている。③水場,フードステーション,休憩所完備。④スタッフがお接待。⑤それぞれ自分のペース。⑥ゴールが遠くにある。⑦声援がそこいらにある。ここらにお遍路にスムーズにスイッチできたヒントがありそう。